- 船や陸上との連絡や通信に関する知識です。主に通信士、航海士が担当します。
- 旗流(きりゅう)信号とは何ですか?
- 外国船との連絡には何語を使いますか?
- 今でもモールス符号(ふごう)は使われているのですか?
- 電報はまだ使われていますか?
- 船には、どんな無線機がありますか?
- 船で使うアンテナにはどんな種類があるのですか?
- 無線機はどのくらい遠くまで届きますか?
- 無線機が壊れたときは、どうするんですか?
■ 旗流信号とは何ですか。
この科学の進んだ時代に旗で通信することがあるのか、とお思いでしょうが、かなり頻繁に利用されます。
見えやすい場所(通常はマスト上)に旗を掲げ、周囲の船舶に自船の状態を伝えます。
これを旗流信号といいます。
この旗は世界共通で使用され、国際信号旗といいます。国際信号旗はアルファベット26枚、数字10枚、回答旗1枚、代表旗3枚、の計40枚で構成されます。 以下にアルファベット旗を示します。(小さい旗をクリックすると、旗が拡大されます。)
これらの旗を1枚または数枚連ねて信号を出します。
これらの旗を1枚使用した場合の信号(1字信号)の意味を紹介します。
よく使われるものに○を付けました。
| 旗 | 意 味 | 使用頻度 |
|---|---|---|
| A | 私は潜水夫をおろしている。微速で十分避けよ | ○ |
| B | 私は危険物を荷役中または運送中である | ○ |
| C | YES | |
| D | 私を避けよ 私は操縦が困難である | |
| E | 私は針路を右に変えている | ○(音響信号でよく使う) |
| F | 私は操縦できない 私と通信せよ | |
| G | 私は水先人がほしい | ○ |
| H | 私は水先人を乗せている | ○ |
| I | 私は針路を左に変えている | ○(音響信号でよく使う) |
| J | 私を十分避けよ 私は火災中で、危険貨物を積んでいる または、私は危険貨物を流失させている |
|
| K | 私はあなたと通信したい | |
| L | あなたはすぐ停船されたい | |
| M | 本船は停船している 行き足はない | |
| N | NO | |
| O | 人が海中に落ちた | |
| P | (港内で)本船は出港しようとしているので全員帰船されたい (洋上で) 本船の漁網が障害物にひっかかっている |
○ |
| Q | 本船は健康である 検疫交通許可証を交付されたい | |
| S | 本船は機関を後進にかけている | ○(音響信号でよく使う) |
| T | 本船を避けよ 本船は2そうびきのトロールに従事中である | |
| U | あなたは危険に向かっている | |
| V | 私は援助がほしい | |
| W | 私は医療の援助がほしい | |
| X | 実施を待て、そして私の信号に注意せよ | |
| Y | 私は走錨中である | |
| Z | 私は引き船がほしい |
■ 外国船との連絡には何語を使いますか。
日本の船や日本国内の陸上の無線局とは日本語で通信していますが、外国船や外国の陸上の無線局とは英語を使うことになっています。
これは、言語の違いで無線通信が混乱し、安全情報などが間違って伝わることがないように、国際海事機構(IMO)と言う機関が決め、世界中の船がこれに従っています。
英語を母国語としない国の人でも、正確に通信できるよう、SMCP(Standard Marine Communication Phrases)と呼ばれる標準的な通信用語を定めています。
■ 今でもモールス符号(ふごう)は使われているのですか。
残念ながら、今はほとんど使われていません。
1999年2月1日から、遭難したときにSOS (エス・オー・エス)を電信 (トトトツーツーツートトト) で送ることが廃止されました。
練習船では、各練習船間で位置や船の行動に関する情報交換をする際に使っています。
でも、せっかくこのページをご覧頂いたのですから、モールス符号をご紹介します。
興味のある方は是非、覚えてください。
| A | ・- | N | -・ | 1 | ・---- |
|---|---|---|---|---|---|
| B | -・・・ | O | --- | 2 | ・・--- |
| C | -・-・ | P | ・--・ | 3 | ・・・-- |
| D | -・・ | Q | --・- | 4 | ・・・・- |
| E | ・ | R | ・-・ | 5 | ・・・・・ |
| F | ・・-・ | S | ・・・ | 6 | -・・・・ |
| G | --・ | T | - | 7 | --・・・ |
| H | ・・・・ | U | ・・- | 8 | ---・・ |
| I | ・・ | V | ・・・- | 9 | ----・ |
| J | ・--- | W | ・-- | 0 | ----- |
| K | -・- | X | -・・- | ||
| L | ・-・・ | Y | -・-- | ||
| M | -- | Z | --・・ |

■ 電報はまだ使われていますか。
使われています。
1980年代前半までは,遠洋を航海している船と陸上の連絡は,中波・短波を利用したモールス通信による電報を利用していました。
1976年に米国でマリサット衛星通信が開始され,1979年にはインマルサットと呼ばれる世界的な組織ができて船の通信はモールス通信から人工衛星を利用した衛星通信に変わり,電話・テレックス・ファクシミリの通信が主流になってきました。
それとともに電報の利用は減って,日本でも1999年に国内最後の商船向け無線電報局「長崎無線」が廃止され,モールス通信による電報の取り扱いはなくなりました。
しかし,電報は短い言葉で気持ちを伝えられること,最近では押し花や刺繍などのきれいな台紙やぬいぐるみ電報なども用意されていることなどから結婚式,誕生日などのお祝いや,お悔やみの時には電報を利用することも多く,現在では,インマルサット衛星通信のファクシミリを利用して電報を打つことができるようになっています。
陸上から船への電報もファクシミリで送付され,船内の受取人に配達されます。
ただし船には押し花のような特別な台紙はありませんので,普通の電報か,お祝いお悔やみ電報かの区別しかありません。
また,船の電報は「無線電報」と呼ばれ,陸上より電報料金が高く,漢字混じりの電文は利用できません。
日本近海を航海しているときは,陸上と同様に船舶電話115番で電報を打つことができます。(これも無線電報です。)
■ 船には、どんな無線機がありますか。
船が安全に航海するためには,気象情報,航路情報などを受信したり,また自船の情報を陸上や他の船に連絡することが大切です。
そのために船では必ず無線設備を設置することになっています。
必要な無線設備は,その船の種類(旅客船,貨物船,漁船等)や,どの海域を航海するかで決められています。
陸岸から近い海域を航海する場合は,通達距離50km程度の超短波(VHF)無線機や300km位届く中波(MF)無線機があれば良いのですが、それよりも遠くまで航海する場合は,地球上どこでも届く短波(HF)無線機が必要になります。また,人工衛星を利用した 衛星通信システムも使われています。
このような通常使う無線機は船橋に取り付けられています。
また,船内で使う携帯型の極超短波(UHF)無線機(トランシーバー)もあります。
さらに遭難したときに陸上や他船に位置を知らせる無線機(EPIRB,SART)や救命艇で漂流している時に救助してくれる船と通信するための無線機(TWRTA)も備えてあります。
このような緊急時に使う無線機は,すぐに救命艇に積み込めるような場所に置いてあります。
この他,無線機とは呼びませんが,夜間や霧中のときでも周りの状態が判るレーダ,自船の位置を知るGPS,沿岸気象情報などを受信するナブテックス,周りの船の情報を知るAISなども無線設備です。
■ 船で使うアンテナには、どんな種類があるのですか。
船には通信用機器や航海の援助をする電波航海計器などたくさんの無線設備があります。
電波を出したり、受け取ったりするためにはアンテナが必要で、効率よく利用するためにアンテナは船の高い位置に取り付けてあります。
中波や短波の送信には細い銅線を何本もまとめたワイヤーを張った線条アンテナ、受信用には釣り竿のような形をしたホイップ型がよく使われます。
周波数の高い超短波などの通信にはTの形をしたダイポール型、人工衛星を経由して通信する衛星通信にはドームに入っているパラボラ型、貨物船のレーダーではスロットアレー型が一般的です。
その他特殊なアンテナもいくつかあります。
外国航路の船舶では小さなものも含めると全部で30本くらいのアンテナがあります。

1.送信用 線条アンテナ
2.受信用 ホイップアンテナ
3.超短波用 ダイポールアンテナ
4.衛星通信用 パラボラアンテナ
5.レーダー用 スロットアレーアンテナ
6.無線方位測定機用 ループアンテナ
■ 無線機は、どのくらい遠くまで届きますか。
衛星を利用する無線機は、地球の赤道上約36,000km上空にある衛星(人工の星)を経由して地上の局と通信を行いますので、世界中と通信できます。
短波の無線機は、昼と夜とで届く距離ががらっとかわってしまいますが、条件が良ければ地球の裏側にとどくことだってあるのですよ。
■ 無線機がこわれたときは、どうするんですか。
船の無線設備は、船が安全に航海できるように様々な情報を受信したり、船からの情報も陸上や他の船に連絡しています。
船の無線機が壊れると、これら情報の送受信ができなくなり、危険な状態になるおそれもあります。
また、船と連絡が取れなくなると、陸上では遭難したのではないかと心配になりますね。
でも、無線機も機械ですから壊れることもあります。
そのために船の無線設備には次の3つの保守の方法があります。
「船上保守」:船の中で整備や予備の部品などを使って修理します。
壊れた部品の交換などでしたらすぐにその場で直すことができますが、この船上保守を行うためには、無線設備の修理ができる資格を持った通信士を乗船させなければなりません。
また、修理のための予備品や計測器が船に備え付けられていなければなりません。
「陸上保守」:船が港に着いたときに、保守の専門家が船に来て無線機の修理や整備をしてくれます。
船に専任の通信士を乗せる必要はなく,計測器などを装備しなくても良いことになっていますが、港に着くまで、壊れたままで航海しなければなりませんし、陸上の無線機器の会社と保守の契約が必要になります。
「設備の二重化」:重要な無線設備は一台が故障しても別の無線機が使えるように、同じもの又は同等のものを2台備えつけます。
外国航路の貨物船などは、上の3つの保守方法の内 2つ以上を選択しなくてはなりません。
通常は,「陸上保守」と「設備の二重化」を選んでいる船が多いと思います。
専任の通信士が乗船している船では、「船上保守」と「設備の二重化」を選択する場合があります。
このようにして、無線機が壊れても安全に航海を続けられるようになっています。











